昭和の職人の技の総決算(その3)

              ○昭和の職人の技の総決算(その3)

 

 


前回に続いて、昭和の職人の技の総決算(その3)です。



 

 


本題に入る前に、下記の言葉の意味をご理解ください。


  

             記


「昭和の職人の技の総決算」と名づけたこの言葉の意味


1、技術が後輩に伝わりにくくなっているので、伝えたい。(技術伝承)

2、今後、この世界に入ってくる若い人を育てる教育体制を整えたい。



時代背景が大きく影響して諸事情が加わり、上記の2点の問題が発生しているため、

これらを解決していきたいとの私の思いを込めて名づけた言葉です。

     





                  (本題)




なぜ技術伝承が止まるといけないのかを前回の続きで書かせてもらいます。


前回は、

 

「総合的技術力がなければ、全体的にはプラスにならない行動を

 

   取ってしまって、お互い向上し合えない」


と言う私の考えを書かせてもらいました。


 

今回は、汎用機や手の感覚についてです。


再度、お断りしておきますが、異なった意見の方もおられると思いますが、

あくまで私なりの考えです。

 


まず汎用機です。

 

(その1)で、ほとんどの会社は、難しい仕事や段取りをこなしてもらうために

 

少数の年配熟練工をストックして、対応していることを書きました。

 

皆さんの回りの工場を見ていただくとお気付きと思いますが、

 

ストックしている熟練工の方は、汎用機も使えると思います。

 

いろいろな意見をお聞きしますが、やはり、汎用機が使えなければ

 

出来ない仕事や、達成できない技術があると私は思います。

 

また、NC機を使う上でも機械を使う基礎は、汎用機で身につくものだと私は思います。

 

次の項目の手の感覚とも共通しますが、

 

最近では、汎用機の経験を積まずにNC機を

 

使っている方が多くなってきましたが、

 

それでは、手に伝わってくる感覚を覚えずして

 

NC機を使うこととなりますので、

 

品物や機械あるいはバイトと、

 

手の感覚を通じて会話することが出来ません。

 

今どのような状態かを手の感覚で読み取り作業を進めて行く

 

汎用機の技術も伝承すべき大切な技術だと思います。

 


 

次に、手の感覚です。

 

ボルトの締め具合などが良い例だと思います。

 

ボルトを締め付けた時の手の感覚はみなさん体感されているように、

 

さまざまに違い、その違い方によって、どのような状態か把握していると思います。

 

いつもしっくり締まっていたのが、何か柔らかな締まり方になったとか、

 

いつもの力具合で締め付けても通常の状態にならないとか。

 

まさにその感覚を身に付けるのが汎用機ではないでしょうか。

 

品物や機械あるいはバイトと、

 

手の感覚を通じて会話することを覚えるのです。

 

加工をするために必要な感覚を身につけるのです。

 

その感覚を身に付けた後、NC機を使った方が良いように思います。

 

 

 


 このような大切な技術(汎用機や手の感覚)を持った熟練工の方が、

 

後輩を育てないまま業界を去って行こうとしているのです。

 

技術伝承が進んでいない工場では、困ることとなると思います。

 

貴重な技術が途絶えるばかりか、これから製造業に入ってくる若者は

 

これらのことを知らずに今後仕事をしていく事になるのです。

 

私は、新たに業界に入ってくる若者に

 

これらの技術を身につけてもらいたいと思っています。

 

現在、微力ながら活動中です。


汎用機や手の感覚などなくても大丈夫と言う意見の方もおられると思います。

 

仕事の内容によっては、機械やプログラムや制御技術にカバーしてもらえると思います。

 

しかし、私の予想では少なからず影響が出ると見ています。

 

熟練工の方や昔の技術をお持ちの方は、たぶん影響が出ることを

 

予想されていると思うのですが、

 

自分にとってプラスにならないことは、口にしませんので、

 

表面には出て来ないでしょう。

 

昭和の職人方の共通のお考えだと思います。

 

 


あるところで、全くの異業種の方とお話させていただいた時、

 

「時代の流れに反したことを言うとそっぽをむかれることが多いでしょ」

 

とおっしゃってました。

 

私は、決してNC機を否定しているわけではありません。

 

現在の加工業会はNC機が主流です。しかし、汎用機の加工技術なしでは

 

この先行き詰ると思っています。

 

汎用機での加工技術の大切さを訴えているのです。

 

今、各工場で難しい仕事を任されている方はおそらく汎用機の経験をお持ちだと

 

思います。このことの重要性を訴えています。

 

 

メジャー路線と一線を画する私のような考えがあっても良いかと思います。


自称変わり者ですので、宜しくお付き合いお願いいたします。

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