昭和の職人の技の総決算(その4)「技術は背中から盗むもの」

            

   ○昭和の職人の技の総決算(その4)

 

    「技術は背中から盗むもの」

 

 

 


前回に続いて、昭和の職人の技の総決算(その4)です。



 

 


本題に入る前に、下記の言葉の意味をご理解ください。


  

             記


「昭和の職人の技の総決算」と名づけたこの言葉の意味


1、技術が後輩に伝わりにくくなっているので、伝えたい。(技術伝承)

2、今後、この世界に入ってくる若い人を育てる教育体制を整えたい。



時代背景が大きく影響して諸事情が加わり、上記の2点の問題が発生しているため、

これらを解決していきたいとの私の思いを込めて名づけた言葉です。

 

 

 

 


                           (本題)


なぜ技術伝承が止まるといけないのかを

 

(その2)(その3)で書かせていただきました。

 

今回は

 

 

 

「技術は背中から盗むもの」

 

 

 

という言葉についてです。

 

昔からの職人言葉だと思いますが、残念ながら本来の意味とは違い、

 

間違って使われ始めています。

 

一部の年配職人が保身のために、間違った意味で使いこの言葉を利用しているようです。

 

非常に残念に思います。

 

このような職人言葉には、技術の伝承や後輩の成長のためにも

 

非常に大切で深い意味があり、昔より大切に受け継がれてきた言葉だと思います

 

決して都合のいい解釈をして利用するものではありません。

 

後輩を育てなくても良いと言うような意味で、

 

一部の年配職人方は使っているようですが、本来の意味は全く違います。


 

 

 

師匠が、後輩にそっと見せてあげていたのです。


 

 

 

後輩は、その時点では、自分が盗んだと思っていますが、年月が経てば、

 

師匠の親心に気づくことでしょう。

 

私もその一人です。

 

 

 

 

 

皆さん自分のお子さんを育てる時のことを考えてください。

 

最初はほぼ全て手を差し伸べて育てたと思います。

 

手をつないだり言葉で言ってあげたりして、危険なところを守ってあげたり。

 

してはいけないことなどを言い聞かせたり。

 

次に、ある範囲までは、本人の自由にさせ、

 

まだ無理な部分はストップをかけたり、親がしてあげたりしたと思います。

 

 

 

しかし、ここからが問題です。

 

ある程度成長すると失敗をさせてあげたり、

 

あるいは、言葉でチラッとヒントを言ったり、

 

行動でそっと見せてあげたりしませんでしたか。

 

本人に気づかせてあげるように考えての、行動と思います。

 

それがわが子(後輩)を育てる親心ではないでしょうか。

 

それを保身のために輩を育てなくても良いというような意味で使っては

 

いけないと思います。

 

 

 

年配熟練工の方もこのように育ててもらったことを、身をもって

 

お解りだと思いますが、保身に回らなければならない諸事情があってのことと思います。

 

 


しかし、技術は伝えなければならないと思いますし、良き職人言葉を間違って

 

後世に伝えてはならないと思い書かせていただきました。

 

 

 

 


実は、技術伝承部門を立ち上げてからの問い合わせや、進行中の案件の打ち合わせ

 

で、何度もこの言葉が出て来ました。ほとんどが経営者側の方が年配熟練工の方に

 

このことを言われて困っていると言った内容です。

 

 

 

現在の経営者の方は現場の経験のない方が多いようで、

 

職人の世界をご存知ないように思います。

 

確かに経営は大切ですのでそれに専念するのは仕方ないと思いますが、

 

昔で言う番頭役の方がいなくなってしまったため、

 

このようなことが起こってしまうのだと思います。

           (職人言葉を都合のい解釈をして利用すること

 

番頭役とは、経営者を本当の意味で護り助ける役目の方です。

 

会社を法的に守る番頭は社内にいなければ頼めますが、

 

会社を技術的に守る番頭は、なかなかいないように思います。

 

現場の職人方より、それなりの反感を買いますので。

 

私も経験があります。年配の職人さんは、一度へそを曲げると、とんでもない行動を

 

取ることもあり、そうなると手に負えなくなります。


経営者の方はほんとうに大変だと思います。

 

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