○昭和の職人の技の総決算(その5)

    ○昭和の職人の技の総決算(その5)





前回に続いて、昭和の職人の技の総決算(その5)です。



 

 


本題に入る前に、下記の言葉の意味をご理解ください。


  

             記


「昭和の職人の技の総決算」と名づけたこの言葉の意味


1、技術が後輩に伝わりにくくなっているので、伝えたい。(技術伝承)

2、今後、この世界に入ってくる若い人を育てる教育体制を整えたい。



時代背景が大きく影響して諸事情が加わり、上記の2点の問題が発生しているため、

これらを解決していきたいとの私の思いを込めて名づけた言葉です。


  

 

 



             本題

 

 


前回は「技術は背中から盗むもの」と言う職人言葉の本当の意味を

 

    書かせていただきました。



 

 

今回は、

 

 

「熟練工の方が、後輩を指導する気があるかどうかの見分け方」

 

 

を書かせてもらいます。今回取り上げるのは、基本的な技術ではなく

 

高度な技術です。各工場でごく少数の熟練工の方しかお持ちでない

 

技術のことです。この技術が年配熟練工の保身の対象になります。

 

 

お解りだと思いますが、

 

「この工場で高度な仕事をこなせるのは自分だけだ」

 

と言う状態を続けることにより、雇用し続けてもらえる保身者の大切な宝物です。

 

しかし、会社にとっても社会にとっても大切な宝物です。

 

事情があり保身に回らざるを得ない方にとっては、耳の痛いことと思います。

 

また、このようなことを書くと私も反感を買うと思います。


仕方ないです。

 

以前にも書きましたが、現在の状況では、年配の職人方

 

にも諸事情がありますので。

 

 

 

 

 

しかし、社会的には技術が後輩に伝承されないことはマイナスです。

 

会社にとってもマイナスです。出来ることなら後輩へ伝承すべきでは

 

ないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

前置きはこれくらいにして、本題に入ります。

 

「熟練工の方が、後輩を指導する気があるかどうかの見分け方」です。

 


(1)高度な仕事をしている時、後輩に見せているか

 

(2)高度な仕事を後輩に少しずつさせているか

 

(3)自分の使っている機械を自分専用にせず、後輩にも使わせているか

 

 


このようなことが目安となるでしょう。

 


まず、  (1)初歩的な段階として、見せて指導する。

 

そして  (2)少しずつ、させてあげなければ何も始まりません。

 

        失敗して覚えていくのはあたり前です。

 

最後に  (3)ここ大切ですが、機械固有の事情があると思います。

 

       例えば、自分が使っている機械でなければ加工できないとか。

 

       あるいは、自分が使っている機械を使わせると言うことは

 

       その機械で使っていた治具や道具また、その年配職人さんの

 

       様々な工夫も後輩に披露することになります。

 

 


経営者の方、また管理職の方、保身に回っている熟練工の方は、様々な理由を

 

言ってこれらを否定することと思いますが、私が親父より伝授してもらった

 

経験からも言える事で間違いはないと確信してます。

 

親子間ですので最善の方法で育ててもらったと思っています。

 

 

 

(1)(2)(3)は順番でなければなりません。飛び越しては指導になりません。

 

保身者がへそを曲げて、いきなり



 

「やってみろ!」



 

は、



 

「ほら出来ないだろう」



 

という結論ありきの行動です。

 

また、次の段階へと行く時のタイミングも大切です。

 

後輩を思う親心が伺えるところでもあり、指導者としての力量の見せ所

 

でもあると思います。

 

 

 


こうして考えると、よほど良い環境でかつ良い雰囲気でない限り、

 

難しいかも知れません。指導を受ける立場の後輩側も職人として、

 

腕を上げることを望んでいないかも知れません。

 



しかし私は、少数でも「職人」ということを後輩に伝えて行きたい

 

と思っています。


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